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Honey Beeの『狼青年』が怖すぎるという話

Honey Bee『狼青年』

顔の明かされていない謎の8人組ボーイズグループのPVが、

公開されてから2日間で150万回以上再生されている。

女王蜂アヴちゃんさん提供曲、東京ゲゲゲイMARIEさん振付、

というコラボレーションでそのお洒落さに目と耳を奪われがちだけれど、

聴けば聴く程不気味で冷やりとする空気が充満してくる感じ。

曲とダンス、インパクトのある衣装が融合して生まれる世界観に圧倒されて書き殴ってしまった。

 

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まず、『狼青年』というタイトルからは、イソップ童話の『オオカミ少年』が、

PVで着用している赤いフードのついたパーカーとオオカミからは、

グリム童話の『赤ずきん』がそれぞれ思い浮かぶ。

 

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『オオカミ少年』では羊飼いの少年が「オオカミが来たぞ」と嘘をつき、

『赤ずきん』ではオオカミが赤ずきんに対して「自分はおばあさんだ」と嘘をついていた。

2つの童話に共通するのは「オオカミ」と「嘘」

PV Short Ver.の登場人物はこの4人。

 

・僕=俺…?

・君

・狩人

・あいつ

 

僕と俺とを使い分けて 心ゆくまで嘘をつく

 

振付では、僕は指1本、俺は指5本で表現される。

「使い分けて」と歌う部分の振付は、顔を隠す一方の手のひら、

表裏交互に出すもう片方の手のひら。

「僕」と「俺」は同一人物なのか…?

 

怖いもの知らない 真実が冷たく光る

 

僕(俺)は嘘をつくことを恐れない。

嘘の裏に隠した真実は未だ誰にも見つかっていない。

 

臆病なフリしてないでさ 面影重ねて迷い込んで

 

僕(俺)は、君が本当は臆病じゃないと知っている。なぜ?

僕(俺)は「君が知っている誰か」に似ている?

 

君を守る狩人は とっくに美味しくね

 

「美味しくね」の振りは銃を構える格好。

本来『赤ずきん』のストーリーでは、狩人は銃を持っておばあさんの家を訪ね、

オオカミに飲み込まれた赤ずきんとおばあさんを救い出す役割のはず。

つまり、僕(俺)が君を助けるはずの狩人を撃ち殺してしまったから、

誰も君のことを助けには来ない。怖……

狩人が「君」の現在の恋人なのか、

親兄弟・友人なのかは分からないけど、分かるのは「君」を助けに来てくれる人は誰もいないということだ。

 

名前なんていいから 好きに呼んで忘れて

 

君から名前を聞かれても答えない。

僕(俺)のついているは、君に自分を他の誰かだと思わせること。

なんと呼ばれても構わないし、自分のことも忘れてくれて構わない。

加えて「名前なんていいから」という歌詞は、Honey Bee自体が素性を明かしていないミステリアスな存在であることにも重なる。

 

理由ばかり欲しがる アリバイを壊して

 

僕(俺)がどこの誰か知りたい君に名前を告げずに、

僕(俺)がそこにいたという証拠を隠して。

 

真面目なkiss まるで手品のよう

暴くブラウス 床に落ちるベルト

 

(………察し)

 

狼少年もう一度 駆け出したらもう帰れない

たとえ誰の涙が胸に 光っても

 

復讐を始めたらもう帰れない、たとえ君が涙を流しても…

 

遮るものなど何もない 不実な心が眠るまで

このまま彷徨い続けていく 僕は狼青年

 

「遮る」は2つの意味がかかっていると思っており、

1つは「嘘をつくことに対する罪悪感、良心の呵責」という感情的なもの、

もう1つは僕(俺)と君の間に存在する物理的なもの

(ブラウスを…暴いてしまっているので……)と感じた。

 

嘘つき呼ばわりする側で 指から煙を奪い取って

本音を吐く君に僕を種明かし

 

この部分は「君が僕を嘘つき呼ばわりする側で、

僕が君の指から煙草を奪い取って、煙草の煙と一緒に本音を吐き出す君に、

僕が本当は誰なのかを種明かしした」と解釈した。

 

あいつのkissそっくりでしょ 君がいつか泣かせた

さよならは今夜 俺らは町を出るから

 

君がいつか泣かせたあいつにそっくりでしょ、面影重なるでしょ。

「俺ら」は僕と俺を指すのか、僕(俺)とあいつを指すのか?

 

怒鳴り声 ドアを背に響く

許さなくていい 窓辺に映る嘘つき

 

君の怒鳴り声を浴びながら部屋を出る。

窓辺に映る自分のことは許さなくていい。

 

おとぎ話ならいつか落ちる雷

でも思い上がりかな 罪も罰も白々しい

牙を出してじゃれたい 首輪なんかじゃ飼えない

???吹き飛ばして どこへだってぶらり

 

罪は「君が『あいつ』を捨て狩人の元に行ってしまったこと」、

罰は「僕(俺)が嘘をついて君に近づいたこと」?

 

狼少年もう一度 駆け出したらもう帰れない 帰らない

狼少年もう二度と…

 

ここまで歌詞を読んでみて、2つの可能性が浮かんだ。

 

(1)僕(俺)とあいつは同一人物という説

失恋の逆恨みで暴走する、カルメンでいうドン・ホセ。

だけどドン・ホセですらエスカミーリョ(カルメンの恋人でドン・ホセの恋敵)のことは殺してないからな…

振付の通り解釈すれば、僕(俺)は狩人を殺してしまっている…

 

(2)僕(俺)は今あいつと結ばれているか、元々僕があいつに好意を抱いており、

あいつの復讐のために君に近づいたという説

愛する人を傷つけた人を許さない、という純粋な執念…。

 

※個人の見解です。

 

他にも様々な謎が残る。

僕と俺の線引きは?

狼少年と狼青年、どっちが僕でどっちが俺なのか、はたまた別の解釈の仕方があるのか?

狼少年はいつ狼青年になるのか?

早く歌詞の全貌を読んでみたい。 

 

『狼青年』。

メロディーとダンスがお洒落で中毒性があるけれど、

ただただお洒落な印象だけでは耳を通り過ぎていってくれない、とてつもなくダークな余韻を残していく曲だった。